2018年03月18日

恩師 John Brookes氏の訃報に接し


敬愛し、尊敬してやまない恩師、John Brookes氏が、
2018年3月16日、天に召されました。
84歳でした。

その連絡を受けてから、言葉に表現できない感情が、押し寄せ、ひいては、また押し寄せます。


連絡をいただいたメールの冒頭にある言葉は、こうでした。

‘I am not a gardener. I am a landscape designer.’
So John Brookes MBE would admonish anyone who mistook him for the former.
(「私はガーデナーではない。私はランドスケープデザイナーだ。」
ジョン・ブルックス氏(英国文化勲章受章)は、前者と間違えられると、必ずそう諭した。)


「デザイナー」であること。

これは、私自身、氏から強く教えられ、
これからも大切にしていきたいと思っている言葉です。


ジョン・ブルックス氏は、それまでの常識を覆し、
現代の暮らしに寄り添った、新しい庭のスタイルである’Room outside’を提唱し、
デザイン理論や手法を築き上げた、偉大なデザイナーでした。

世界中で庭をデザインし、
教育にも大変熱心で、各国でガーデンデザインについて教鞭をふるいました。


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ジョンが「My colour」と呼び、こよなく愛したブルー。
いつの間にか、English Gardenを代表する色になっています。


私がジョンに最初に出会ったのは、著書の中でした。

英国のCapel Manorで、ガーデンデザインを学んでいた時です。
分かりやすく、かつ奥深いその著書に感動し、必死で読みました。


その後、念願叶って、氏が自宅アトリエで開催する、
ガーデンデザイン集中コースに入門することができたのです。


自宅兼アトリエがあるDenmansは、英国を代表する庭園です。

ここで、初めて握手したときの感動と緊張は、今も忘れることが出来ません。


コースでのジョンの指導は、大変厳しく、
また、時にグラスワインを出してくれる優しさにも溢れ、
4名の各国から集まったクラスメイトと、
無我夢中で学びました。


そして帰国後は、アシスタント兼通訳として指名をしていただき、
共に日本中を旅しました。


また、「日本で仕事をするのなら、日本の植物等を学びなさい」と、いうアドバイスもあり、
京都造形芸術大学へ入学し、
さらに多くの恩師や、大学内外での貴重な出会いにもつながりました。


仕事以外でも、来日された時、
彼が大好きな近代建築を見て回ったり、お食事を楽しんだり、、、

私も、Denmansを度々訪れました。
一番好きな庭園です。


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2011年7月には、JAG(ジャパンガーデンデザイナーズ協会)名誉会長(当時会長)の
正木覚氏とともに訪問しました。

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このお二人が出会う場に同席できたのは、本当に光栄でした。



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当時、学んだ机。懐かしさのあまり写真を撮りました。


今、何故もう一度、Denmansに行かなかったのだろうと、
強い強い後悔を感じています。

漠然と、この春に会いに行きたい、と感じていたからです。


まだまだ、気持ちの整理はできないと思いますが、

偉大な恩師、John Brookes氏 MBE に出会えたこと、
旅したこと、教わったこと、怒られたこと、慰められたこと、
大笑いしたこと、おしゃべりしたこと、乾杯したこと、
時に、褒められたこと、


その全てに心から感謝し、

ガーデンデザイナーとしての道を、歩みたいと思います。

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お読みいただき、有難うございました。



はまもとのりこ












posted by nori hamamoto at 17:11| ほか | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする